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ちょこれいと Valentine in 2006 

覚めない朝のカーテンは 冬の朝を教えてくれない
いつまでも夢の中のキミを 僕だけの部屋に閉じこめたいよ
腕の中のキミは お姫様のように目覚めのキスを待ってるの?
上手く愛の言葉をささやけない僕は いつも君の名を呼びながらキスするだけ
だけど
君は甘いちょこれいと 触れてるだけで溶けちゃいそうだよ
長く触れてても いつか消えてしまうんじゃないかと不安になるよ
キミはほろ苦いちょこれいと いつもまでも僕の中から消えない
甘い香りのするキミを 
いつも食べちゃいたいって思ってる僕を 君はキライになったりしないかな?


「剛史くん、晃一くん、今年も来てるよ。」
マネージャーの言葉に思わずため息が出そうになる。
「そうですか...」
「君らの分、事務所側で、ええな?」
「はい。」
晃一も同じく頷いてる。しかたがないんだ。全部食べるわけにもいかないし、何が入ってるか疑うのも悪いけど事務所からは食べるのも禁止されてる。わかってて送ってきてくれるんやから、ほんまに申し訳ない。
「処分する前に見ておかないのか?」
「ボクは...晃一は?」
「一応見とくかな。」
「そっか、じゃあ、後で事務所にね。」
「やっぱり、まだ見れんか?」
マネージャが立ち去ったあと晃一が聞いてきた。
「あ、うん...」
もらった気持ちは嬉しいんやけど、時々その重さや、想いの大きさに、ボクは見てるだけで潰されそうになってしまうんや。晃一だけがそれを知ってる。
「相変わらず繊細やな、オレの神経分けてやろうか?」
「いらんわ...」
「けどオレはチョコのCM出てるからなぁ。見るだけでもみんとしゃあないわ。」
笑いながら晃一も控え室に向かっていく。
ほんまに...晃一ほど割り切れたらどれほど楽やろ?
時々何かに押し潰されそうになってしまう。僕を脆いとか、繊細やとか晃一や周りにいるスタッフが言う。それでも、最近はスタッフにも恵まれて、どっちかっていうと創作系の仕事をさせてくれるようになって、気持ちはすごく楽や。詩を書いたり、イラスト描いてみたり、番組を好きなようにやらせてもろたり。
最近は安定して来たなって言われる。
これは、全部真央のおかげやと僕は思てる。晃一もそれに気がついてるからか、二人のことをあんまり何も言わんのやと思う。
護るべきモノと言うより、帰るべき場所がある。真央とおるだけで癒され、素になれるんや。


「真央...」
「んっああ...」
真央の中に居るときはキモチイイ。真央の肌に触れてると安心する。真央がボクを欲しがって、ボクを締め付けてくる瞬間、真央が愛しくてたまらんようになるんや。

「剛史くん、これ...」
それは手作りチョコやった。
「どしたん?」
「ん、チョコたくさんあったから作ってみた。」
「ああ、アレか...」
CMに出たときに晃一と一緒にメーカーにもろたチョコの山。たまに疲れたときに食べるんや。
けど今でもCMにでてる晃一は実はチョコはあかんのや。ナイショやけどな。いっつも我慢して食べるてるんや。それでも仕事やからと爽やかに甘くこなしてるんはさすがにプロや。
「生クリームあったから、あれで生チョコ作ってみたの。」
「へえ、食べてええのん?」
「うん!」
ココアをまぶされたそれを一口放り込む。口の中で溶けるように甘さが広がる。
「うまいやん。」
もう一つ...
「美味しいなぁ、真央も食べへんのん?」
嬉しそうにその様子を見てる真央にそう聞いた。
「あたしはいいのよ。それは...そのバレンタインのチョコだから...」
ちょっともじもじとしながら下を向いてしまった。
「真央?」
「あの、は、初めてだったの...誰かに、バレンタインするなんて...」
「え?」
「今までそんなことしたこと無かったから...みんななんでチョコ送るのかなぁって。そしたら晃一くんが『剛史意外とチョコ好きだよ』って教えてくれたんで...でも、あそこにあったチョコレイトなかなか減らないから、変えたら食べるかなって...」
プレゼント用に買ってくるとか考えないトコが真央らしかった。
「そっか、ありがとうな。で、真央は食べたん?」
「少しだけ、味見したけど...結構美味しく作れたでしょ?」
「そっか、じゃあ、もういっこたべる?」
そう言って口に含んでから真央にキスした。
「んっ」
深くすると溶けかけたチョコを真央の口中に押し込んだ。
「おいしい?」
「っ...ん、おいしい...」
「やろ?もっと食べる?」
真央は首を振った。
「そうか、けど、ボクはまだ、食べたいなぁ...今度は、真央を、な?」
「え?」
「もう一回、チョコのお礼や。」
ほんまはホワイトデイにするんやけど...まあ、ええかな?


甘い二人のちょこれいとバレンタインは、ボクが仕事で出掛ける寸前まで続いた。
−END−

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