７
| 「サト、当分帰れねえぞ？オレは今日明日、明後日までオフだからな。」 そ、そんな！？ カレの部屋に連れてこられて、車だったから、そのまま地下から部屋までの間もひたすら無言で．．． 部屋に入ったとたんそう言われて、寝室に連れて行かれた。最初に暴れて、なんとか話しを聞いて貰おうとしたのを抵抗ととられたのか．．． モゴモゴ、状態だった。 両手を一つに縛られて、猿ぐつわ噛まされて、何にも声が出せない。 ベッドに押さえつけられて、イヤって言うほど指で愛撫を加えられて．．． 抵抗する力が無くなって、ようやく猿ぐつわをはずされて自由にされた唇も、天野さんに塞がれて支配される。 何度もイキそうな前に止められて、身体はがくがく震えるのに、昇れなくて．．．気が狂いそうなほどまで攻め立てられたあたしは、涎と涙でむちゃくちゃな顔になってたはず。 なのに、天野さん、あたしを見てすっごく悲しげな顔で微笑むんだもの。 「サト．．．おまえが居なくって、オレがどんな日を過ごして来たか判るか？」 そりゃ、あんまり元気なかったのは判るけど．．． テレビ見てても、虚しいほどの空元気、見えてたよ。それでも最後までハイテンション通して、さすがプロだなって思った。 「なあ、言ってってくれよ、オレが、好きだって、オレが欲しいって．．．言えよっ！！」 天野さんが．．．まさか．．． 「言ってくれ．．．」 そう言われても、言葉にしたくっても、声が出ない。 「サトリ．．．おまえが居なきゃ、オレは．．．」 「雅、弘．．．」 「サトリ．．．」 天野さんの手が、愛おしそうにあたしに触れてくる。 泣いてるの？ あたしの頬に落ちたこれは、涙？ 「好きって．．．言ってもいいの？」 「ああ」 「欲しいって、言ってもいいの？」 「ああ、言えよっ！くっ．．．ご、めん、オレ、サトリのこと大事にしてなかった。何にもいわなくっても、ずっと側にいるって、思いこんでいた。オレは大馬鹿野郎なんだ．．．」 「好き．．．雅弘ぉ．．．抱いて？もっと、欲しい．．．」 「ああ、壊れるまで、抱かれてろ．．．」 「んっ．．．ぐっ」 奥まで、天野さんが一気にあたしを貫く。 久しぶりの行為．．．出産を経験して初めての．．．． 押し入られたそこが前より敏感になったように感じるのは気のせいかな？ 圧倒的に自分を支配する感覚に息が切れる。そっと目を開けて、眉を寄せて艶っぽく息を吐く天野さんの表情を盗み見る。 天野さんは失望してないかな．．． あたしは、以前と同じように受け入れられてるだろうか？だって、よく言うじゃない？赤ちゃん産んじゃって、緩くなったとか、その．．．身体の線崩れたりとか．．． 激しくされるのかと思ってたら、すっごく優しい動きで翻弄された。 「はああん．．．」 優しげな手があたしの腰を流離いながら、天野さん笑ってる？ 「な、なあに．．．そんな、じろじろ見ないで．．．」 「んっ？ああ、サトの中、めっちゃ久し振りで、キモチイイ。なんかさ、今までより反応がいいのは気のせいか？サトリも感じてるんだなって思えてさ。ああ．．．動くのがもったいない．．．」 「あんっ．．．」 また奥を突かれる。あ、だめ．．．あたしも、すごくキモチイイ。よかった、悪くなってるわけじゃないみたい。 「けど持たねえ．．．オレ、溜まってっから．．．」 激しい動きに翻弄されて、天野さんにしては珍しくあたしのお腹にその欲望を迸らせた。 「オレさ、サトのこと、５年もの間、当たり前のように抱いてて、自分のものだって思いこんでた．．．オマエ便利だしさ．．．誰もチェックしてねえし、料理はうまいしよ、気使わねえし、オレのことすごく理解してくれてるし、何よりも、身体合うし？それでもな、最初は、他の女で替えがきくと思ってた。サトが住田と付き合うって思って別れた時だって、まだ大丈夫かなんて思てて．．．」 「付き合うって思ってたんだ．．．」 「ああ．．．オレは、いつどんな形でオマエのことがバレてもいいかなって思ってたんだ。オマエが望むなら続けることも、やめることも．．．けど、オマエは何にも望まねえし、気持ちも、お互いに聞いたことなかっただろ？そのくせ住田と外に食事行きたいとか言いだすから、別れてやった方がオマエのためだって思った。オレはまだまだ自由で居たいとか、ちょこちょこ他の女に手出してたのは付き合いだした頃だけで、後の噂はオマエを攻撃させないためのカモフラージュでしかなかったんだぞ？」 「え、嘘．．．」 「まだ、大丈夫だと思ったんだ．．．なのにオマエが居なくなった途端、妙にイラつくし、他の女でもダメで．．．焦った。」 「嘘．．．」 「何でおまえじゃねえとイケナイのか、最初はオレわかんなくてさ．．．他にもいい女がいろいろと声かけてくれるのに．．．アイドルになって、めちゃくちゃモテて、女選び放題なのに、何でオマエがいいのか、オマエじゃなきゃいけないのかって．．．」 復活した天野さんは今度こそゆっくりとあたしに攻め入ってくる。結構真剣に話してる割に、しっかりとあたしの感じる角度で攻め立てて来るから、聴いてはいるモノの、返事なんかまともに出来なくなっていく。 「けど、どんなにいい女に手出しても、オマエが居るこの部屋に帰りたくなるし、どんなに高級そうで、横文字の並んだ料理より、おまえの作ったみそ汁と漬けものが恋しくなるんだ。甘ったるい香水よりも、おまえのシャンプーの香りが一番落ち着く。それに．．．ついいじめたくなるような反応のしかたしてくれるこの身体．．．何度も抱きたくなるしよぉ．．．自分がおかしくなりそうで．．．でも、自分の気持ち、今更いうのが照れくさくってよ、オマエからいわせたかったけど、えっちのときしか、サトもオレを好きだっていってくれなかっただろ？つい、意地張っちまって．．．せっかく帰ってきてくれた後も、肝心なこと一つも言わずに、オマエのことだけ欲しがって．．．オレはまたサトを失った．．．今度のは理由もわからねえし、どこにいるのかもわかんなくって．．．他の女なんてもう目に入らねえし．．．」 ちょっと苦しそうな顔した天野さんはあたしを引き上げて、向かい合わせに座る形で、自分のうえにあたしを降ろした。 「半年は長かったよ．．．サトが居なくなっても、オレ、何にも出来なかった。探すことも、狼狽えることも．．．帰ってきてくれてってメールすることすら出来なかった。いや、違う、本当は怖かったんだ。オマエがオレを捨てたって、嫌いになったって判るのが怖かった。だから．．．」 「だから、探してくれなかったの？」 「そりゃ、探しに行こうと思ったさ。けど、ツアー控えてたし、誰かにオレたちのこと言うのもイヤだった。それに、もしかしたら、そのうちまたオマエが戻って来てくれんじゃねえかなんて都合よく考えてたり．．．だから、もし目の前に現れたら、そんときはどんな卑怯なまねしても、犯罪犯してでも取り込んで帰さないって思ってた。」 「もう、犯罪だよ．．．無理矢理連れてきて縛ってえっちするんだもん．．．」 「感じてるじゃねえか？それでも無理矢理か？」 繋がったまま、今度はベッドに背中から降ろされて、脚を抱え込んだ天野さんが角度をまた変えて突き上げてくる。これって、キツイ．．． 「サト、戻ってきてくれ．．．おまえが居ないと、オレ．．．何にも出来ねえ。他の女じゃダメだった、それはこの半年、身にしみた。」 「でも．．．」 どうしよう？ここに戻れないことはあたしが一番よくわかってる。 「デモじゃねえ！オレがこれだけ言ってるんだ、ハイって言って戻って来いよっ！」 あ、逆ギレした．．．ついでにキツく突き上げられた。 「はうっ！」 「返事するまで．．．いたぶってやる！」 「きゃあっ！」 だめ、どうしよう．．．戻ってきたいけど、「はい」って言えないよ？ だって雅鷹のことどうやって説明したらいい？？ それを考えたら、すごく怖くなった。 絶対嫌われるよね？ 子ども産んでて．．． それも自分の子を勝手にって、さ。 いくら出来ちゃった子どもを殺したくないからって、黙ってるのはよくなかったもん。 天野さん知ったら絶対にキレそう… 嫌われる．．．かな？ やっぱり言えないって思った。 「やっぱり．．．だめだよ．．．」 「他の男か？そいつのせいなのか？」 「うん、まあ．．．」 「オレが話し付けてやる！！けど、その前に．．．」 「あんっ！！」 「サトの弱いとこは判ってるんだ．．．そいつと別れたいって思うほど、よくしてやるっ！」 攻められた．．． そして昇りつめる前に離され、また攻められ．．．最後には自分でなんて言ったのか覚えていないほど．．． だって、そうしないと狂ってしまいそうだったんだもの。 すべてが終わったあとのシーツはべたべたで．．．あたしが何をしちゃったかなんて、それが教えてくれていて、動きたくても動けない身体は、指の先まで痺れていて、未だにひくついたままだった。 ようやくあたしを解き放った天野さんは満足げにあたしにキスを落とすと、今までに見たことのないような優しい顔で「愛してる」って言った。 動けないあたしを引きずるようにバスルームへ連れていってくれた。 珍しい．．． 今までは放置されてたもん。終わった後寝ちゃうのが多いんだけど、こうやってシーツを汚したときは、天野さんがシャワー浴びてる間に洗濯して、シーツ替えてたから。 かっこよくお姫様だっこなんて出来ない天野さんは、あたしを浴槽に放り込むと、自分も脱いで入ってきた。お風呂で襲われたことはあるけれども、こんな、身体洗ったり、いろいろして貰ったのは初めてで．．．なんか、天野さんの愛情を感じてしまう。 嬉しい。 「コレでいいな？」 ぼうっとして動きの悪いあたしに服を着せると、天野さんは車のキーを取り出した。 天野さん自慢のヤンキー車．．．え？今から乗るの？？ 「悪いな、サト。ゆっくり休ましてやりてえけど、今のオマエじゃないと素直に男と別れてくれそうにないしよ、寝てる間に逃げられそうだから、すぐに出掛けるからな。」 出掛ける？どこに？まさか？ 「で、オマエ今どこに住んでんの？」 実家に行くつもりらしかった．．． |