step6
「剛史くんの身体、キレイ...」
真央が、服を脱いだ俺の身体にゆっくりと手のひらを這わせた。
たしかに...ダンスのレッスンもあるし、トレーニングで身体も絞ってる。アイドルだから何もせずに笑って過ごしてるわけじゃない。剛史ももう25、今年26になる。事務所の中でも不動のデュオの座を確保し、レギュラーも晃一と一緒の物を入れると週に四本はあるし、たまにドラマの出演もある。だが、油断は出来ないのだ。若い元気のいいのがすぐそこまで追いかけ来ている。7月には久々に大阪の事務所からグループがデビューするし、気を抜いていると後輩達にするりと抜いて行かれる。そのために日頃から鍛えてはいるが、世間の興味は移り気で、剛史自身が商売道具である限り、気は抜けなかった。
けれどもそう言う真央の身体もキレイだった。無駄の無い身体はヴァイオリンを弾くためのものなのか、しなりのよい柔らかい肢体、健康的な生活をしているせいか、周りにいる女優やアイドルなんかとは比べ物にならないほどきめの細かい肌は白く、モノトーンの剛史の部屋に浮き立って見える。
「真央の身体もきれいや...」
剛史はキスを何度も繰り返す。唇から首筋、耳元、鎖骨...真央のことを気遣ってイヤらしくない、触れるようなキスをしていても、頬を桜色に染めてじっと自分を見つめている真央の視線に心も体も高ぶってしまう。もう見せられないほど興奮して形を変えている下半身。真央を正気のまま最後まで抱こうとしているのに、こんなにも自分が興奮してしまっては何にもならなのに...
「ううん、剛史くんて、なんかこう...普段はほんとに普通なんだけれども、何かしてるときの、さりげないポーズでも、一つ一つがどきっとするの...目元にかかる前髪とか、掻き上げるしぐさとか...すごく素敵で...あたし、ドキドキしてしまうよ?そんな剛史くんが、今あたしだけを見つめていてくれて、あたしだけに触れてくれてるのが嬉しいの。それなのに、前は...全部忘れちゃうなんて...あたし、もっと、ずっと、剛史くんを見ていたい。いっぱい触れたいよ。」
素直な真央の言葉に、剛史は一瞬どきりとした。
多くの女性を引きつけるために、いつの間にか身に染みついてしまった仕草の数々。素の自分と言っても、やはり切り離せないのだ。言わなければならない。だけれども、その前に、真央と強く繋がっていたいと思う。
「真央、俺はな、たとえ何万人の人に、キレイとか、素敵とか言われても、真央にそう言われる方がずっとうれしいんや。今の俺もどきどきしてるんよ?わかるか?真央...」
真央の手をそっと自分の下半身に触れさせる。ボクサーパンツの上からでもはっきりと形が判るほど硬く興奮した男の証。真央が記憶をなくすほど、怖くて嫌いなものかもしれない。
「これは、真央が欲しいゆうてるんや。他の男はもう関係あらへん、真央が、俺を欲しいって思ってくれたら、真央の記憶から、俺以外全部消したらええから...真央が自分からイイってゆうまで、絶対に真央の中に入らへんから...安心するんや、ええな?」
「これ...」
真央の細く華奢な指がそっと上から滑るように触れる。弦の上を滑るように優雅なその指の動きだけで、血液が下へと降りていくのを自覚した。
「つらいの?このままじゃ...」
「ああ、つらいで、けどな、真央に触れられへん方が、もっと辛い...」
カウンセラーの先生に止められてるのもあるが、あれ以来真央を抱いていなかった。軽く抱きしめたりとか、キスも軽いキスですませないと、すぐに彼女を欲しがる自分が顔を出すから、その抑制が大変だったのだ。
久しぶりに抱きしめる華奢な真央の小さいからだ。抱きしめてゆっくりと手のひらで背中や首筋に優しく触れる。感じやすい彼女はぴくんと身体を震わせてはかわいらしい声を唇で奏でる。
キスを再開させて、今度はもう、深く求めるしかないキスで、真央の口中を舌で嬲り、上あごを舐めあげると、真央は解放したあともしばらく荒い息でぼうっとしてしまうほどだった。既に、小さな胸の先は尖りを見せて剛史を誘っているし、固く閉じた脚も、緩んだり捩ったり...
身体は覚えているのだろう。何度与えられたか判らない快感を求めて潤を持ち始めているのだ。身体も熱く火照り初めて、徐々に薄桜色に染まっていく。
「真央、今キスしてたのはだれや?」
「...つ、剛史くん...?」
「今、真央は何されてるん?」
「さ、触られてる...剛史くんに、胸を...」
「どうされたい?」
「...もっと、あたしに、触れて欲しい...剛史くんの手で、剛史くんの唇で...」
真央の希望通り胸の先を口に含んで舌で転がす。かるく歯を当てると小刻みに身体を揺らせる。
予想以上に開発された身体...一瞬あの弁護士に嫉妬するが、果たして本当にそうなのか?それ以上に自分の物にしてしまおうとする欲望が沸き上がる。
そのまま身体をずらして真央の脚をそっと開く。彼女は今じっと見ているから、自分が何をされるか判ってるはずなのだ。
「やぁっん、そこは...」
「ココが大事なんやろ?真央が好きや、真央が欲しい...せやから真央のココにキスしたいんや。真央も、俺を欲しいって、少しは思ってくれてるやろ?」
指をそっと割れ目に這わせる。濡れて湿った音がするほどに...。
「真央のここどうなってる?」
「あっ、わ、わかんない...」
「逃げずに答えるんや、真央、ココに触れてるのは俺やろ?」
「...うん、剛史くんが、あたしに...触れて...あたし...濡れてる...」
「真央の身体が、俺を好きって言って喜んでるんや。せやろ?」
ちゅっと軽くキスをすると、舌でゆっくりと舐めあげて、最初は外側を念入りに濡らした。顔を出し始めた真珠にも舌で優しく触れると真央のそこはぴくぴくと蠢いて、泉を溢れさせた。
「このまま、イッテええから...」
吸い付いてその核を舌で強く押して擦った。
「やっ、ちゃう...いっちゃう...あああああっ...」
軽く麻痺して、背中を反らせる。意識を失わない程度の、軽い絶頂。
「イッタ?真央...」
「ん...」
けだるげに、それでも瞳を閉じずにずっと、自分の股間に顔を埋める愛しい人の黒い髪を指で梳いていた。
「誰にイカされたのか、判る?」
身体を起こして、口元をぐいっと腕で拭うと真央の顔をのぞき込んで返事を待つ。
「...剛史くんに、されたの...」
「気持ち、よかった?」
「...ん...」
「ええんや、それで...感じてええんや、せやかて、俺にされてるんやからな?」
にっこりと微笑んで、ちゅっと額にキスする。まぶたにも、頬にも、唇にも...
快感を覚えた真央の身体をぎゅうと抱きしめる。敏感になったままの真央の唇から、あっ...と、また可愛い声が聞こえた。
「ココでやめとくか?」
そう聞いた剛史に真央は頭をふった。
「じゃあ、真央の中に入れてもええか?指だけやから...」
頷く真央にキスをして、そのままゆっくりと指を1本潜り込ませる。
「あっん」
今度こそはっきりとくちゅりと言う音を立てて飲み込んだ。
「真央...真央の中のこれは誰や?」
ゆっくりと指を上下に動かすと真央の中のざらつきを擦り上げるたびに、彼女が腰を揺らすのが判る。
「つ、剛史くん...」
「増やすで...」
2本に増やして、中でゆっくりと動かしながら親指の腹で芽を出した蕾を何度も擦る。真央の泥濘でつるつると滑り、彼女に快感を与えていく。中の指も真央のイイトコを捕らえたようで、彼女の声がいっそう高くなる。
「ああんっ、はっ...っん」
「気持ちええか?そうやって感じてくれたら、俺が嬉しいねん。真央が俺のモンになった気がするんや。真央...好きや...離したないんや。」
「はぁああ...剛史くんっ、ああっ!!あたしっ...」
二度目の絶頂を腕の中で迎えた真央は、身体を震わせたまま剛史にしがみついていた。
「あたし...剛史くんのものだよね?」
「そうやで?こうやって、かわいくイクとこ見せてもろたし、俺が触れれば触れるほど、真央の身体は、俺のことが好き好きゆうてるみたいに感じてたやろ?俺、もう、これで満足や...こうやって抱き合うてることを真央が覚えてくれとったらええから...」
愛しさが溢れるとはこういうことなんだと、剛史は真央をきつく抱きしめる。身体を繋げたいのはもちろんだけれども、いそいで、もしまた今夜のことを彼女が忘れてしまう方が怖かった。
「ね、剛史くんをあたしの物にする方法はないの?」
「え??」
「だって、コレ...まだ、その...あたしが、欲しいって、言ってるんでしょう?」
真央に密着しているために、剛史の猛りきった股間のモノは収まりを見せずに、真央の下腹を押し上げていたのだ。
「いや、けど...」
「あたしも、剛史くんをあたしのモノにしたいんだもの。ダメ?お願い、やり方教えて...どうすれば、剛史くんを気持ちよくさせてあげれるの?あたしの身体で出来るんならそれでもいいけれども、あたしも忘れるのが怖い...だったら、他の方法、あるんでしょう?」
「あるけど...」
「このままって、辛いんでしょう?」
「ああ、真央...すごく辛いんや...俺...」
「剛史くん。」
真央を引き起こしてベッドに座らせる。膝断ちになって、真央の前に自分をそっとさらけ出した。
「真央の口で...してくれるか?」
頷く真央はぺろぺろとまるでキャンディでも舐めるかのようにゆっくりと舌を這わせた。
「怖ないか?コレ...変な形しとるやろ?」
「怖くない...あたし、逃げたくないもん。剛史くんのこと好きだから...だから、平気。ううん、むしろ剛史くんのだったら...か、かわいい...かもっ...」
必死な顔をしてる真央を見て、剛史は思わず吹き出した。
「あほ、無理せんでええ...こんなん、かわいいはず無いやんか?」
「わ、笑わないでよ!だって、剛史くんのだったら...」
そのまま口中に含まれてしまう。今までされたことがないわけではない、そんな行為も真央がしてくれると思うだけでも剛史は過剰にソコを反応させていた。
「あかん、真央...そないに...」
たどたどしいながらも、一生懸命どうしてイイか聞きながら剛史のモノに快感を与え続けている。その可愛らしい口元から漏れる音、漏れ聞こえる小さな喘ぎ声、時々自分の方を見上げてくる真央を見るだけで、しびれるほどの快感が腰から脳に駆け上がっていく。
「もう、あかん、真央っ...くっ!!」
まさ真央の口の中に出すわけにも行かず、思いっきり引き抜いて、そのままかがみ込んで自分の手の中に欲望を吐き出した。
「剛史くん...?」
「ま、真央はみんでええから...」
側にあったティッシュで素早く白濁液を拭い、下着を上げて未だ主張し続ける己を覆い隠した。
「気持ちよくなかった?」
「いや、めちゃくちゃ気持ちよかったで?せやから、だしてしもたんやろ?」
「あれが...?赤ちゃんの素?」
「え?ああ、そうやな。そうなるで、ただし、真央の赤ちゃんの卵と一緒にならなあかんけどな。」
「あたし...赤ちゃん作れるの?」
「真央...これは、愛し合ってる行為でもあるけど、究極、赤ちゃんを作る行為や。俺は...いつか、真央に俺の赤ちゃん産んで欲しいけどな。」
「...いいの?」
「ああ、産んで欲しい。真央がもしうんゆうてくれたらやけど?」
「あたし...剛史くんの赤ちゃんだったら欲しいなぁ。」
「ホンマに?」
「うん。」
子どもが欲しいと素直にそう口にする真央はまだ産むには早い、幼すぎる子どものように見えた。その前に解決しなければならない問題は山ほどあるし...
剛史は諭すように、真央に説明をした。
「セックスは、愛し合う行為で、子供も作れる行為やけど、めちゃくちゃ気持ちええコトやろ?今日かて、俺と真央は実際繋がってなくても、十分気持ちよかったし、身体も心も満足しとる。けどな、身体の快楽だけ求める奴らもおる。俺は真央のこと本気やから、気持ちええだけや無くて嬉しいけど、中には気持ちよくなるためだけに女を抱くヤツも居てる。女さえうんゆうたら誰でも平気なヤツも居てるし、お金払てやるヤツもおる。中には...無理矢理なヤツかて居てる。でもな、覚えておって欲しい。もし、どんなことがあっても、真央を愛してる俺が居るから、いくらでも忘れさせてやる。あの弁護士にかて渡さへん。」
「うん、あたしは、剛史くんのモノだよ?もう怖くない...何をされても、剛史くんならイイよ。」
「じゃあ、このこと、恥ずかしいけど、カウンセラーの先生に話そうな?」
「うん、今度...報告する。」
「真央さえよかったら、今度は...な?」
「赤ちゃん作るの?」
「いや、それは...真央かて音大卒業したいやろ?」
「...うん、それは...」
「せやろ?俺かて、真央を奥さんにする準備が居るんや。」
「準備?」
「ああ、準備や、俺の仕事、ゆうてなかったやろ?」
「あ...うん。」
「聞いたら真央はびっくりするかもしれへん。」
「なんで?どんな仕事してても、剛史くんは剛史くんだよ?」
「ホンマに?俺が芸能人...アイドルでも...か?」
「え?...ア、イドル?」
「ああ...」
真央はその目を大きく見開いて、剛史をじっと見つめていた。