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My Prince Your Princess 〜普段着の王子様〜

セカンドバージョン 6


実は王子の部屋って初めてだったりする。
あれから、あんまり逢えなかったし、逢うとしたら、王子があたしの部屋をいきなり奇襲が多かったし。

なんか、さすが、だ...
王子様のお部屋、じゃないけど。やっぱアイドル、それも売れてるんだもんね、あたしの部屋とは比べものにならないぐらい、すごい部屋。セキュリティのしっかりした芸能人セレブ様御用達のマンションだし、車で地下に入れば、誰にも見られない?フロントに人がいない代わりに、呼べば出てきてクリーニングや色んな事の代行も頼めるらしい。
で、フロントからチェックのためのパスワード入れて、中にはいるとあとはエレベーター。かなり上?
不安だから、思わず手なんか繋いじゃってるけど、あたしってまるで不審者のようにキョロキョロしそうになって、下向いとけって怒られた。
エントランス入って、その奥にドア。
「ようこそ、お姫様。だっこでもしてやろか?」
ニヤって笑ってるけど、王子、あたしが唖然としてるの楽しんでるでしょ?
「お、お姫様って...もう、やめてんか、そんなあわん冗談!」
「何ゆうてるんや、みてみ、鏡...」
玄関の横に大きな姿見がかかっていた。そこに映されたのは、どう見てもお似合いっていうか...イヤそれはおかしい、だってあたしなんだから!だから、見劣りしないっていうか、並んでても全然おかしくない、これがあたし?
「な?今日のナツキはめっちゃ綺麗や...可愛いし、色っぽいし。それが媚薬のせいやゆうのが気に入らんけどな。」
「で、でも、そのおかげで、なんか、この恰好も出来たって言うか...ずっと、晃一くんのこと意識してたし...」
「え?」
後ろから聞き返してくる目がすごく嬉しそう?
「えっと、その、準備してるときから、彼氏にされてることとか、思いだしなさいって...でないとあたし色気ないから...」
「十分、今はありすぎ...我慢出来へんな。オレ、そんなん聞いたら」
ワンピースは前に小さなボタンがたくさん付いてるやつで、それを王子は器用に一つずつ嬉々として外してる...
「ね、見えるよ?」
映ってる自分が恥ずかしくて訴えるけど、王子は聞いてもくれない。
「いくら着飾っても、メイクしても、こんな鬘かぶっても...中身はオレのナツキや。このちっちゃい胸も、子供みたいな身体も、全部...」
開かれた胸に、いつもと違う、さとりさんが用意してくれた大人っぽい下着...
「やぁ、晃一くん...こんなん変態っぽいわ、いやや...」
鏡の前なんて、つい見てしまうけど、すごく変な気分になる。
「なんで、キレイやんか?その表情もめっちゃ色っぽい、見てみ、コノ身体がオレを狂わしてるんやで?この目がオレを煽るんやで?いつもよりキス待ってるみたいな口して...」
あ、そうだ、晃一くんは化粧あんまり好きじゃないだった。
あたしは急いで手の甲で唇についたグロスを自分で拭き取った。
「ナツキ...とらんでもええのに。オレは化粧が苦手なんやくて、ケバい化粧してる女が苦手やったんや。そのグロス、ちょっと甘かったな、さっきキスしたときにええ匂いもしたし...もっと食べてええか?」
そう言えば、さとりさんが、これ、美味しいから食べられちゃうかもって。色は付いてないんだって、付いてるのはその下のリップベース。
「んっ...」
返事する間もなくキスされて、そのまま、身体を抱き上げられた。「ごめん、ゆっくり部屋でくつろぐって言うのも、してやりたいんやけど、あかんわ、我慢出来へん。」
そう言って一気にベッドルームに直行したらしかった。


広いベッドに肌触りのいいシーツ、そう言えば王子は寝るとき衣服を身につけない...
どさりと背中から落とされて、鬘も外されいつものナツキに戻っても、王子のせわしない動きは止まらなかった。
あの恰好に興奮してたんじゃなかったの?
いつもと違う自分が嬉しくて、その反面、見かけだけ変化した自分に嫉妬した。見かけだけで王子が心揺れるなら、自分はとうに捨てられてるはずだから...
「ナツキ、逢いたかったんや...ずっと。あんな約束してしもたけど、心配やったし、落ち着かんし...今まで仕事してたらこんな不安すぐに消えたのに、もう、無理みたいや。」
「晃一くん?」
「認めて貰えるまで、我慢しとこ思たけど、昨日天野さんに逢わせてやるって言われて我慢出来んかった。それで、もしバレて事務所に要求が通らんかったとしても、かまへんって思うぐらい。」
「けど...」
「なに?」
「ううん、なんでもあらへん...」
バレたとしても、バレなかっても、認めるつもりなんて事務所側にはないのに、そう口にしてしまいそうだった。
いけない、言っちゃダメなんだ。アレ聞いたら、王子は何言い出すか判らない。そこそこ事務所側を信頼してるみたいだし。
とにかく別れろと言われた。それもあたしに浮気相手を作ってでもと。それを知ったときの彼の気持ちも考えずに、ただあたしがお笑い芸人で彼にふさわしくないからという理由だけで、排除されようとしていた、劇団もろとも...
「取りあえずあとで説明するから、2,3時間して連絡があるまでこの部屋に居ていいって、天野さんに言われたんやけど、その間何してもええって事やろ?」
再び動き出す王子の指先に翻弄される。全部脱がされて、結局いつものあたしに戻ってる。
「あ、化粧だけはとるなって言われてるんや...同じ恰好で出てこれるようにって、気付けるけど保証は出来んぞ。」
「あっ、ん」
のど元が跳ねる。首筋を走る唇に、快感を掘り起こす指先に、以前よりももっと敏感に反応する身体が恨めしいほど...
もしかして、まだ媚薬が効いてるのかな?薄れゆく意識の片隅でそんなことを考えながら、あたしは王子を欲しがり譫言のように何かを口走りながら、快感の海に溺れた。




「ナツキ、大丈夫か??」
「ん...だめ、もう...」
意識が覚醒しないほど、あたしの身体は指先まで痺れて、ぐったりとした虚脱感に支配されていた。
「動けんのか?」
「ん、無理...」
「参ったな、もう時間なんやけどな...やりすぎたか?ナツキがめっちゃ反応ええから、オレつい調子に乗ってしもた。ごめんな...」
ゆっくりと身体を引き起こされ、ぼやけた頭を必死で覚醒させようとした。
「ナツキがあんなになるの、はじめてやったな...表情もあんなにとろけて、アソコも、とろけて...オレ、ナツキの中からでたくないって思った。オレが動かんのに、おまえ我慢出来んようになって自分で腰動かしたり、ホンマにどないしたんや?寂しかったんか、おまえもオレが欲しいって思ってくれてたんか?」
覗き込んで、その少し茶色がかった明るい瞳が、問いかけてくる。前髪がさらってあたしの頬に触れて、当たり前みたいに唇があたしの唇に軽く触れて離れた。
「あ、の...あたし、」
急激に昨夜の自分の痴態を思い出して逆上せた。
いつもなら言わないようなこと、いっぱい口にしてた。王子が『欲しいの?』って聞いたら、『欲しいの、ちょうだい』そう言って強請って、自分から王子のモノを...
あ、アレはあたしじゃない!!あたしが、あ、あんな...
「思い出しただけでも、ヤバイくらいや。涙流しながら『欲しいの、離れないで』とか、『まだだしちゃイヤ、いっぱいして』なんて言われたら、ナツキのこと壊してしまうで?時間足らんかったから無事なだけや。」
どこが無事なの?その後の王子ったら、なんかすごかったよ?あたしの身体本当に壊れちゃうかとも思ったもの。でも、気持ちよくって、何もかもどうでもいいって思うくらい、狂わされたんだ。
ただ、ほとんど記憶が曖昧で、身体動かないんだけど?

「あ、電話だ」
王子の携帯が鳴って、すかさずでてしゃべってるけど、耳元だから声も聞こえる。
『終わったか?晃一』
「ええ、まあ...」
『不服そうに言うなよ。それより森沢は出てこれそうか?今から里理をそっちにやるから入れてやってくれ、化粧とか直さな酷いんだろ?』
「あー、まあ、かなり鳴かせましたから。」
『ふん、俺が頼まれてるんは、森沢を劇団まで送り届けるまでだかんな。あとはリンダさんがやるっていってるしな。』
団長が?働かない頭で考えているうちに電話は切れた。
「服着れるか?」
王子の問いかけにあたしは力無く首を横に振った。
「しょうがないな」
そう言って、王子が脱がせたあたしの服を拾い上げて着せにかかる。
「あ、いいよ、自分でやるから...」
ぎこちなく動く腕を必死に伸ばそうとするけれども、なんで?動かないの、この腕は!!腕だけじゃない、腰から下も全然力はいらなくて、情けなくて泣きたくなるぐらいだった。
「無理すんな、まだ身体震えてるやろ?ほんまは休ましてやりたいけど、すぐに迎えに来るって、天野さんゆうてるし...」
ボタンをはめてくれる手がゆっくりと下がっていく。あたしに全部着せ終わると、ゆっくりと立たせてくれた。
「ナツキ...」
そのまま引き寄せられて王子の胸の中だった。
「今度、いつ逢えるんや?オレは心配や...こんな、ナツキをテレビで見せたら、誰かに取られるんと違うかって」
「そんなはずないって、あり得ないって!」
「けど、おまえはどっかで諦めてるやろ?オレとは無理って」
「晃一くん...」
言い返せなかった。違うって否定出来なかった。もちろん努力もするし、何もせずに終わりたくないって思ってる。だけど、王子が最後に歌を選ぶことを考えると、一番最後の部分で諦めてしまうと思う。だから、それを見透かされてるようだった...
「ね、もし...もしもの事があっても、絶対に歌は辞めないって約束してくれる?」
「え?」
あたしは王子のシャツの胸ぐらを掴んだ。
「なんや、急に...」
「晃一くんは、歌を辞めたりせんよね?」
真剣なあたしの問いに、王子も何かを悟ったのか、マジメな顔つきになった。
「ああ、辞めへん。辛い思いしても、続けてきたんや。もし、おまえを捨てるようなことがあっても、歌だけは辞めへん。」
一瞬胸が痛む言葉だったけれども、あたしはほっと安堵の息をついた。
「そっか、よかった...それ聞いてたら、あたし安心出来る。」
王子がココまでくるのに、生半可やなかったことも判ってる。まだ聞かせてもらってないけれども、何かを怖がってる理由も知らないけれども、たぶんすごく辛い思いしたんだと思う。それでも続けてきた歌を、あたしは彼から奪うことは出来ない。たとえあたしがどうなっても。
「ほな、はよいこ?天野さん待ってるんやろ?」
「ああ」
王子に支えられてあたしは部屋の外に向かった。

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