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My Prince Your Princess 〜普段着の王子様〜

ちょっとまて?
冷静になって考えるんだ、森沢ナツキ!
身体チェッーク!お肌チェーック!こそこそとパンツもチェック...
「嘘やっ!それはないわ、絶対、嘘やろっ!」
「なんで、嘘やてわかるん?」
ぐいってキレイな顔が近づいてくるけど怯まない。だって、だって!
「せやかて、どっこも痛ないもん!パンツもそのままやし、シーツにもどこにも血付いてないし...」

ニヤニヤと王子にあるまじきにやついた顔...

「あっ!」
ば、バラしてしもたがな...
「ふ〜〜ん、お笑い芸人の森沢ナツキは未だに処女?まさか、25にもなって、なぁ?いくら少年ぽいので売ってるからって、まさか男と付き合ったこともないとか...ないよな?」
「わ、わるかったわねっ!」
あたしはそれ以上の肯定も否定もできなくて、益々墓穴を掘ったようだった。だって本当だもん。友達はたくさん居たけど、そんな気になるような奴居なかったし、実際テレビで見るアイドル達の方がずっとよくって...そうだ、高校生の時からこの顔を見てて、ずっと好きだなぁって...だめだめ、こんなジョークに乗っちゃ!
そーっと王子を見たら、固まってる??動かないししゃべらない。
なんて静かなベッドの上。
そうだった!こ、ここはベッドの上で、二人とも下着姿で、顔もこんなに近くて...
「嘘だろ?ナツキって男が側に寄ってもそんなに怯んだりしないだろう?それに劇中で敵王に押し倒されるシーンでもすごい声出してるじゃん?『ぎょえ〜〜っ!』って」
そのシーンは、色っぽくはないと思う。決して...笑い取ってるし?そのための役があたしだし?
「まさか、本当にナツキに入れたらあんな声出すん?」
はあ?い、入れたらって...王子なんてこと言うのよ!!
「だ、ださんわっ!って言うか、しらんわ!やったこと無いのに!」
うう、想像しただけでも怖い!あたしはびくっと震えて顔を引きつらせた。

今まで誰も手を出してこなかった。
まあ、だしたくなるような体型ではないからなんだけど。今までが今までだっただけに、あたしは男性をそんな対象に見たことなかっし、警戒したこともなかった。
まさか、王子がそんな存在になるなんて...だって、女に不自由してないだろうし、まさか...男が好み?あたしだと男に近いから?それとも物珍しいから??いやいや、きっとコレはきっとカレなりのギャグなんだわ。あたしボケなきゃダメなのかしら?でもこんなシーンでどうやってボケるのよ〜〜〜!!

「ナツキ?何怖がってるん。オレが何かするって思た?」
ん?ってあたしを見る目が優しい。よかった、いつもの王子だ。
「そ、そんなん、思わへん。思わへんけど吃驚させるようなこというからやんか!今までそんなことゆうてくる人もおらんかったし、してくる人もおらんかったんやから。」
あたしはドキドキしてるのを気付かれないようにゆっくりと深呼吸して鼓動を整えた。そして一生懸命笑顔を作って顔を上げると。
「ナツキ、おまえな...」
「え?」
声が低いですけど?王子様。
「それ、おかしいやろ?」
立てた膝にのせた顔が呆れてるような...けど、そんな睨み見上げるような視線は反則技だわ。
「そ、そうか?けど、高校でもそうやったし、劇団はいっても男の先輩も優しいだけやったよ?男扱いやし。お笑いのにいさんらも、いっつも『ナツキは今のままで居れよ』って...」
「ホンマに、誰も手出して来なかったのか?」
しつこいなぁ。けどマジな顔で聞かないでよ、そんなこと。
「当たり前やん!あたしの洗濯板誰が触りたいゆうねん!」
こんなこと自慢にもならないけど、つい大きな声で返してしまう。
「なんだよ、だったらおまえが寝てる間に思わず触ってしもたオレは変態か?物好きか?」
ガッて、王子が膝を落としてあたしに向かってくる。あたしをベットの隅に追いつめて、その手がどんって顔の横の壁を叩いて、またまた顔が近づく。
やだな、心臓に悪いんだよ。王子のアップは...
「ま、マジで触ったん?」
こんななんにも無い胸を。けどマジで触ったとしたら、あたしは顔から火が出るくらい恥ずかしいんだけど?
「いや、まあ、あるんかなぁ思って...」
ああ、そっちかぁ...焦ったぁ!
「なんやぁ...それやったら、ようあるねん。ホンマにあるんかぁ〜ゆうて触ってくるお笑い仲間もぎょうさんおるし、通りすがりに確かめてくるファンもおるから、慣れとるよ。」
ほっと胸をなで下ろしてあたしは笑った。
「慣れてるだって?」
あれ?また声が低い?
「え?うん、せやかて、いちいち目くじら立てよったら芸人なんてやっとられへんやんか?」
「......」
無言の王子。目、座ってますよ?
「あの...なんか気に障ることいいました?」
「おまえは誰にでも胸触らすのか?」
「だ、誰にでもって、好きで触らせてるんと違うわ!勝手に触ってくるんやから...」
「勝手に...ふうん、なら勝手に触っていいんだな?」
「ひえ?」
目が怖いって、王子らしくないよ?それ、舞台で切れかかってる時の目じゃない!
「勝手に触ってもいいんやったら、オレが触ってやる!」
どんって、引き倒されてベッドに背中から押し付けられる。
なに、この体勢...王子、嘘でしょ?あたしの胸なんか触ってどうするの?板だよ、板!
「嘘...って、え?や、待って...ちょっと、やだ...あっんっ」
キャミソールの上から胸に手を置かれ、ぎゅって強く掴まれるのかとおもったら、ゆっくりと指が動いて...尖った蕾をその指腹で弾かれて、思わず出た変な声がでてしまった。
信じられない!自分の声なのに全然違う。低いけど、それでもオカマが喘いでるのとはちょっと違うかも...
「へえ、意外といい声で鳴くんやな...」
タンクトップの裾から入ってくる王子の意外とごつっとした手が直に胸に触れて、遠慮もなくその蕾を攻めはじめる。上向いてるとほとんど無いから余計にだろう、集中してソコばかりせめられてあたしは...
「やっ、ちがう...そんなつもりやないって、こ、晃一くん?ちょっと、ヤダ...やだよぉ...うっ、ううっ...」
あたしは泣き出していた。
だって、こんなの初めてで...こんな感覚も初めてで。
女扱いされたことなんて無くて、胸触るときでも、みんな男同士胸揉むみたいな感じで...こんなに、優しく、強く、甘く触れられたことが無くて。
怖かった。
自分の身体が怖かった。目の前の王子が、怖かった。
「感じたことがそんなに怖いのか?」
「感、じ...た?」
「いい声でてただろう?他の男に触られても、そんな声出してたのか?」
「ださんわっ!あんたに触られたときだけやっ!」
「ふーん」
あれ?あたし今なんていった??
「オレ限定ね...他のとこ触ってもそんな声だすかどうか、試してもいいか?」
何言い出すんですか?この王子は...
「だ、だめっ!」
「もう遅い...男に組み敷かれて、逃げられると思うな!細い、こんなに、オレより細い身体のくせに...」
「ひいぃぃん、やあぁっ、んっ!!」
胸の先を再び強く摘まれて、あたしはあられもない声を出して身体を反らした。
なんなの?この感覚...キャミソールを捲られてその先がなま暖かいモノに包まれる。え?王子、舐めてる??あたしは身体を硬直させていた。

ねえ、こんな時はどうすればいいの?
いくら何でも王子とこんなことがしたいわけじゃなかったし、憧れは憧れで、付き合いたいとか思ったわけでもないんだよ?毎日顔見れれば幸せで、見てるだけで良かったのに...なんで?
「ここは?」
いきなり下着の上から大事なところに触れた王子の指...
「なっ、どこ触ってるんやっ!!」
暴れても王子の脚が両足に乗っかってて逃げられない。
「濡れてはないか...まあ、今からやな。」
ゆっくりと身体を起こした王子は、あたしの手を引いて抱き起こした。
「な、なに??」
次は何をされるのか、思わず不安になってあたしは後ろにずり下がった。でもすぐに引き寄せられてその腕の中に戻される。
「今日から、ナツキの身体教育してやる。ちゃんと女になれるまで、な?」
ああ、この人ってえっちなことしてる時とか、マジになったとき標準語に戻るんや。でも頼むから王子様スマイルでそんなこと言わんとって!
からかわれてるんやと思うけれども、思わずドキドキしてしまう。本気にしないようにしなきゃ、そんな顔で言われたらヤバイよ!
「い、いらんわっ!!」
だって、教育なんて...やだもん。ほんと、なによ??って感じで。
「そう言うなや。ちょうど、オレも今彼女居てへんし...」
「え?アイドルでも彼女居る時あったん?」
「おまえ、この間何見とってん?」
あ、そっか、相方の剛史くんの彼女の話があったんだった。
「けど、なんで?」
「おもしろそうやし...」
そっちか...もう!
「王子様はさっさと相方みたいにお姫様見つけて幸せにしたり!侍女であそんどったらアカンやろ?」
「王子様って、オレのことか?」
やば、いっちゃった?でもええいこうなったら開き直りだ!
「そうやで、ジュリアス王子やろ?王子様の相手はお姫様って決まっとるやんか!侍女のオカマに手出しとる暇なんかないやろし、あたしなんかやのうても、他にいっぱい相手居るやろ?」
「相手ねぇ...」
少しだけ暗い表情。ため息。
「王子って言われてもな、オレの事優しい王子様やと思とる奴とは付き合えんねや。何でか、ナツキはわかるやろ?」
「えっと...あんまり女の人には優しくないって言うか、苦手?」
「そうや。それから?」
もっとあったっけ?えっと...
「無精やし...めんどくさがり屋やから、カノジョ出来てもマメに連絡入れへんかな?仕事や舞台はじまったら、そっちしか見えなくなるやろし...」
「その通りや、さすが一ヶ月以上一緒におっただけあるなぁ。正直女は苦手や。見かけがこんなんやから結構思いこまれてる見たいで疲れるんや。オレは仕事が楽しいし、女で仕事ごたごたしたくもない。女女してなくて、オレが構わんこともしってて、一緒に居て楽な女なんか滅多におらん。その点ナツキはおもろいしな。」
おもしろいって、それだけ?
「ナツキ、覚悟しとけよ。」
だから、意味と脈絡がわかりませんって!!!
「じゃあ、続きな?」
だからなんの!!
教育の続きといってまた押し倒される。
だから、何であたしが教育されるのよっ!
「ちょっとやめて...やっ、んん!」
「感度はいいな...」
「ひゃんっ!」
脚の付け根の蕾を弾かれて、ぐりっと押されて身体が仰け反る。
緩んだ隙に下着の中に...指??
「なにするんっ!!やめっ...ん」
唇まで塞がれて、目の前には王子の綺麗な髪と榛色の瞳と金に近い茶色のさらさらヘアーが揺れる。
もしかして、初めてキスされた?ちゅって何度も触れて角度変えて啄むようにあたしの唇をもてあそぶ。あたしはどうしていいかわからなくて固まっていた。
「目ぐらい閉じろ。」
命令するような口調だけど、語尾が甘いのはさっきまで触れてた唇だから?
あんた誰よ?別人じゃない...
エロイし、目も声も座っちゃてるし、笑い顔もさわやかじゃないよ??

あたしの王子様、本物の晃一くん、どこいったの??
カンバーック!!



これってどういう事なんだろう?

あたしは取りあえずいわれた通り目は瞑った。だけど、再び重なった唇をこじ開けて舌が入ってきて驚き、また身体を震わせる。
「大丈夫やから、オレに任して?」
何を任すのかわからなくて、あたしはただされるがままの手の動きに身体を硬くしていた。
確かに嫌じゃない...王子様だし?憧れてたし、むしろ好意もってたし。
でも、あたしにはこんな展開ついて行けない。
そう、ずっと、触られてる!!さっきみたいに中に入っては来ないけど、ずっと敏感な蕾を刺激し続けてる。キスしてた唇がずっとしたに落ちてきて、胸吸ってるし??うう、身体がおかしくなるよ!
「やっ、やだ...ソコ、ひいぃん、な、んか、変...変だよ、やだ、やだっ、こ、晃一くんっ?」
「イッテイイから...ココしっかり女の子だからさ、ナツキ、いけよっ!」
きゅってかまれたのと、押しつぶされたのが同時で。
あたしは目の前のすべすべの裸の身体に抱きついて、がくがくと震えた。


目の前が真っ白になった。
身体の全部が激しく脈打ってる。指の先まで痺れて動けない。
あたしは余韻の残る身体をどうしていいかわからなくて、ぽろぽろと泣き出してしまっていた。
「あ、あたし...やだ、こんなの...あたしじゃ、ない...森沢ナツキじゃなくなっちゃうよぉ...」

たった今、思い知らされた。男みたいだと思ってた自分の身体が女で、経験もないのにイカされて、何かを欲しがっているなんて。
きっと今のあたしは物欲しそうな女の顔をしてるんだろう。
でもそれじゃダメなんだ!
あたしは、芸人だから、こんな顔してちゃいけない。
森沢ナツキらしい、男みたいな、粗野な仕草で、女捨てて。笑いを取らなきゃいけないのに...
涙が止まらない。あたしは子供みたいに泣きじゃくりはじめた。
カッコイイ泣き方なんて出来ない。
「ごめん、調子に乗りすぎたな。」
そっと抱きしめられたのがわかる。
王子の胸に納められて、意外と早くなってる鼓動を耳にして、あたしは、震える身体を預けたまま目を閉じた。


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